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春の訪れ

シスタージョアンナ徐

 雪国の北陸に育った私は冬が大好きです。
それと同時に春の訪れを待ちわびていた幼い頃が懐かしく思い出されます。

 3月ともなれば大地は長い冬の眠りからようやく目覚め、春が近いと告げてくれます。大地の変化をいろいろな形で子供たちに教えてくれる3月!

 雪解けの3月下旬、まだ小学生だった私は授業を終え家路につく道すがら、道草をして色々な雪景色を見るのが楽しみでした。特に、いつもの道を通らず、遠まわりをするのです。数人の友達とその方法を比べあうのも楽しみの一つでした。ある時、田んぼの真ん中を歩きながら、ところどころに雪解けの風景を見つけたときは本当にうれしいものでした。12月下旬~3月下旬まで土を見ないのですから。

また、私たちは田んぼの真ん中で太陽を思いっきり真正面から受け、十字形に寝そべったりしました。好きなだけ大きな理想の家を作ったりし、ままごとが始まります。想像力を駆使しての自慢の家を友達に披露するのです。いつしか雪焼けで真っ黒になりました。

 ある時は、雪の下からのぞかせる大地のぬくもり、少しずつ黒々とした土の中から暖かい湯気のようなものが立ち上がってくるのを見ました。「今度は私たちが大地をあたためるのよ」と語っているように思えました。

 まだ汚染されていない大地は芹(せり)やタニシが生息するのどかな田園風景を私たちに与えてくれました。本当に楽しい素朴な子供時代だったと思います。童謡はそのまま生活の一部のようでした。雪の下から黒々した大地が春の到来を告げるのです。3月下旬は大地が春めきます。春に期待が膨らむ今日この頃「春よ、来い、早く来い」と口ずさむ自分に微笑みかけました。

 中世の大詩人アシジの聖フランシスコは「太陽の賛歌」の中で自然をわが兄弟姉妹と呼びかけました。地球の汚染で危機にさらされている自然と共存し、尊敬することの大切さをローマ教皇フランシスコは回勅「ラウダート・シー」の中で訴えられます。全人類の共通財産である地球に聴き、自然を大切に保ちたいものです。