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シスター ルース 森


  いく日も猛暑の日がつづいたあとの今朝は、雨がふっているらしいと目が覚めたときからわかりました。空気がここちよくしめっています。やわらかな雨が人のこころをやすらかにし、物音を吸収してくれるのでしょう。食事も心もちゆったりとしているようです。食堂からみえる修道院の中庭にも、しずかに雨がふっています。
  何か小さなものが庭のすみから躍り出て、芝生のうえにじっとしています。小さな地味な色の蛙です。この中庭に住みついているようなのです。この家が建って、20年もたちますが、年に1,2度、この季節に、1匹の蛙の姿をみかけるのです。ある年は雨水のたまったバケツに全身をゆったりと浮かべていたり、ある年は壁にむかって何度もなんども跳躍をこころみていたり。今年は雨浴びのようです。
  四方をかこまれて安全なこの庭には、ツグミやジョウビタキが春を告げ、中央のハナミズキが花をおえると、茂った葉かげにメジロが子育てをします。鳥たちが運んできてくれたのか、今年は、万葉集にも詠われたネジバナが、そそとした花をたくさん咲かせました。
  こんな静かな雨の日には、この庭を安らぎの場とする植物や生き物があること、フランシスコ教皇が言われるように、地球は「皆の家だ」と、心から思うのです。