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シスター ルース 森

冒険
  ママといっしょに修道院に遊びにきてくれる3歳半の男の子は、私がちょっと席を立つことがあると、ちょっと怖そうに、「冒険する!」と母親にいって、私についてきて、なにか新しいことを見つけたい様子です。ベランダのバジルに水をやり、ちょうど季節なら、目を輝かせてミニトマトを採り、目ざとく棚の籠のチョコレートやハリボーを見つけ、気に入ったものを抱えて、大急ぎでママのところへ帰るのです。
  私は若いころ1年間、ボルティモアの修道院でアメリカ人のシスターたちといっしょに生活する機会に恵まれました。英語の勉強をしながら、新しい体験から、おおくのことを学んだのですが、日本人と生活するのが初めてだった、その修道院のシスター方にとっても、あるシスターが言ったように、私は「グラウンド・ブレイキングな(地面に鍬をいれるような)」思いがけない存在だったようです。あるとき、日本のお菓子を1人のお年寄りのシスターにさし上げようとしたとき、「私は年をとったから、もう新しいことはしない」と、申し訳なさそうに断られました。
  思えば、私たちは意識的に冒険を選ぶこともありますが、すべてが目まぐるしく変化していく現代では、いやおうなしに日々、大小の冒険をしているのではないでしょうか。キリスト者の私は、「世の終わりまで、あなた方と共にいる(マタイ28,20)」と、言ってくださるイエスさまを信じて、心おだやかに、楽しく、日々の冒険を受け入れたいと思うのです。