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カラスウリの花

シスターメリー・パトリシア久野

夏の早朝、白いレースを広げたようなカラスウリの花が咲きます。
陽が上ると小さく萎んでしまいます。

小学生の頃、夏休みに入ると毎朝学校の校庭でラジオ体操がありました。
休みに入ってダラダラと一日を過ごさず、規則正しい生活をするように計画されていたのでしょう。出席するとカードに印をつけてもらってそれを2学期に提出するようになっていました。
1,2年生頃のある日、何が原因だったのかわかりませんが、ラジオ体操に行くのがとてもつらく、ふらふらする頭を抱えてやっとのことで行きました。
体操が終わって帰る途中、急に吐き気がして川の傍の道にうずくまってゲーゲー吐き出しました。起き抜けに行っていますので、空の胃からは搾り出すように、黄色い胃液が出てきました。苦しくて涙を流しながら吐いている川の傍の草むらに、涼しげな白いレースのような花が咲いているのが目に入りました。
その白いレースのような花を見ながらゲーゲーと黄色い胃液を吐き続けました。傍にはどうしたらいいのか分からず、ただ黙って心配そうに立ちつくしている友達を感じていました。

自分の苦しみは他の人にどうしてもらうこともできません。でも、あの時の白い花のように、あの時の友達のように、ただ黙って傍に居てくれるのを感じるだけで、人はその苦しみに耐えられるのではないかと思います。

無言の愛と見守りができるような、静かな深い愛を生きられたらと願います。

カラスウリの花にまつわる優しい思い出です。