1. HOME
  2. ニュース
  3. シスターの散歩道

ニュース

シスター ルース 森


  2週間前の月曜日に、修道院の中庭のハナミズキの木を剪定してもらったとき、私たちも気づいていなかったメジロの巣のある枝を、植木屋さんも気づかずに、切り落としてしまいました。巣の中には3羽の雛が孵ったばかりのようです。私たちの願いのままに、1度、元の場所あたりの枝に、巣のある枝を紐でくくりつけてくれたのを、もうひとつ上の枝で親鳥が首をかしげているようだからと、植木屋さんは親鳥のいたその枝に、巣のある枝を固定しなおしてくれました。
  ちょうど梅雨、しかも台風のせいで、その月曜日の晩から何日もはげしい雨がふりつづき、さらに、金曜日の夜は冷えこんで、私は自分の部屋に暖房をつけたほどでした。晴れわたった翌土曜日、切られて枯れはじめたその枝に親鳥が飛んできて、黄色いくちばしが開くのが見えました。3羽の雛たちの体はもう柔らかな毛におおわれて順調に育っているようです。それから1週間たった晴れた日、巣はしずまりかえって雛たちの気配がありません。ふと私のベランダの下のこんもりと刈り込んだキンモクセイの木に目が行きました。中の方の枝に3羽の雛がぴったりと小さな体を押し付けるようにしてならんでいます。これから2,3日、この中庭で、みじかい尾がのびるのを待って旅立っていくのでしょう。
  「空の鳥をよく見なさい。」(マタイ6)というイエスさまの言葉を思い、厳しい環境を生きぬいた小さな命に感動しながら、多くを学んだこの2週間でした。