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シスター ルース 森


  2本の茎にみごとな花をつけた早咲きのアマリリスの鉢を修道院の玄関の台に置きました。通りがかりのシスターたちやお客さまたちが目をとめて、「わー、きれいね!」「すごく大きく咲いたのね!」「1本の茎に4つも花を付けるのね!」「勢いがあるね!」「ほんとうの深紅ね!」などと感嘆の声をあげる中に、1人の若い女性が、不釣合いに背の低い5枚の葉に目を止めて、「ちょっと変ね」といいました。花の茎は30センチもあるのに葉はほとんど伸びず10センチにも満たないのです。ふと思いついて、私はベランダのプランターに咲いているミズナの菜の花をちいさな花瓶に挿して、アマリリスの鉢のそばに置いてみました。やわらかいミズナの葉と花が、勢いのよいアマリリスと調和してやさしい雰囲気になりました。
  それから1週間もたって、最初に咲いた1本の茎の花が終わり、ミズナの菜の花も散りはじめた2,3日前、ふと見ると、アマリリスの5枚の葉がいきいきとして、茎の半分を超えた背丈に伸びているのです。葉の伸びる時がやっとやって来たようです。「何事にも時がある/ 天の下の出来事にはすべて定められた時がある/ 生まれる時、死ぬ時/ 植える時、植えたものを抜く時/…」という旧約聖書のコレト3章の言葉が思い出され、厳粛な気持ちになりました。