花子と花男 シスター ルース 森 花子と花男 これは一羽の鶏の名前です。 何年か前、夏休みも近くなったある日、私たちの修道院に一羽の鶏の雛がやって来ました。小学校の孵卵器で孵って、貰われ残ったのでした。“花子”と名づけられたこの雛は、中庭の片隅に置いた小… 続きを読む 2009.06.17 シスターの散歩道
ある雨の日 シスターメリー・パトリシア久野 友達から連絡があり出かけました。 「子供も夫も捨てて家を飛び出したい‥‥でも何とか留まっている」という話でした。 雨の中、お寺の縁先に座ってずっと聞いていました。揺れに揺れる心のバランスを取り戻すため、色々な事は考えず、… 続きを読む 2009.06.08 シスターの散歩道
大きな命から シスター ルース 森 大きな命から 私が住んでいる修道院の聖堂の祭壇の側に、背の高い十字架が置かれています。その足元に今、一鉢のデンドロビュームが美しい花を咲かせています。白い大きい花弁の端をほんのりとピンクに染めて咲くその姿は静寂そのもので… 続きを読む 2009.05.30 シスターの散歩道
ある死 シスターメリー・パトリシア久野 小学生の時、鉄道自殺がありました。 友達と一緒に現場に行った時、轢死体の手足、頭、胴体等はまだ、バラバラに散っていました。 そばにいた大人達の囁きの中から聞き取りました。自殺した人はおじいさんだった事。下駄がきちんと揃え… 続きを読む 2009.05.20 シスターの散歩道
木の葉 シスター ルース 森 木の葉 5月初め、私の住んでいる修道院の生垣のアカメモチがたくさんの鮮やかな葉を落としました。聞けば常緑樹はこのごろ葉を落とすのだとか。 「降りつづく雨にも負けず散り残る庭の公孫樹はよき風待つか」という短歌は、私の歌友の… 続きを読む 2009.05.19 シスターの散歩道
再び 樹 シスターアン・ミリアム木村 「再び 樹」 全校写生大会が植物園で行われた日の朝、1年生の登校に付き添って来た保護者の一人、お父さんが、その日にはこんなことを話しました。 「シスターは先日、私たちを教えて下さったのは23年前の5年生の時だったとおっし… 続きを読む 2009.05.04 シスターの散歩道
庭石菖 シスターメリー・パトリシア久野 彼女が6歳の時のことです。 お母さんと庭の草取りをしていた時、5センチ程の茎の先に、小さな星のような花を付けた草を見つけました。 あまりの可憐さに「これは抜かなくてもいいね」と言いましたが、「でも、雑草だから抜いてね」と… 続きを読む 2009.04.29 シスターの散歩道
藤の花 シスター ルース 森 藤の花が美しく咲く季節になりました。藤の花を見ると正岡子規の藤の花十首を思い出します。その詞書から、病が重くなり、作歌の気力も失いがちな子規が、病床から机の上に美しく活けられた藤の花を見て、にわかに歌心をそそられて詠ん… 続きを読む 2009.04.27 シスターの散歩道
幼友達 シスターメリー・パトリシア久野 中学一年頃の会話です。 A 「○○○○ね。」車の騒音でよく聞こえないまま。B 「うん、そうね。」A 「Bちゃん、よく言うわね。」B 「え! 何? 今、何て言ったの。」A 「私なんか Bちゃんの足元にも及ばないわね … 続きを読む 2009.04.14 シスターの散歩道
「人間らしく生きたいから」 シスター ルース 森 「人間らしく生きたいから」数年前、年の黙想を世田谷区の上石神井の黙想の家でしました。黙想の最後の日は、「愛を得るための観想」に当てられます。私は石神井公園に行くことにしました。細長い池があり、その半分は開発が進んでいる町… 続きを読む 2009.04.08 シスターの散歩道