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骨折

シスター ルース 森

骨 折
  何か月かまえに、腰椎を圧迫骨折して、今、胸から腹部をおおう大きなコルセットをしています。日常の生活がいろいろと不自由なのですが、その1つは、道を歩くとき、体が前に進まないように感じることです。
  先日も、修道院に帰るみちすがら、体が前に進まないことをもどかしく感じていたとき、ふと、日ごろ親しい4歳半の男の子のことを思い出しました。つい最近、彼がママといっしょに訪ねてくれたとき、水泳教室で身につけようとしている泳ぎのフォームをやってみせてくれたのです。手はぜんぶの指をしっかりくっつけ、肘をのばし、足はひざを曲げないで、つま先までまっすぐにのばして、交互にうごかすこと。私も肘をのばし、指をつけて、空気を後ろにかき分けるようにすれば、体は前にすすむのではないかと思いついて、やってみると、手の平にかすかに風のふれる感覚があって、確かに、わずかながら体は前にすすむようです。
  「蝶々の羽ばたきが台風の進路を変えるという物理学の理論」があるそうで、対人地雷廃絶の「オタワ条約(1997年)」のキャンペーンが「バタフライ・キャンペーン」と言ったことを思いだしました。かすかな力ながらも結集すれば、よい流れを作ることができるという、このキャンペーンの、人間に対する信頼と希望が、私のこころをはずませてくれました。