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よい思い出

シスター ルース 森

よい思い出
  ブログに投稿しはじめたころ、フランスの哲学者マルセルが、若き哲学者だった今道友信氏に、「人間が人間に贈ることができる最善の贈り物はいい思い出だ」と語ったことを紹介しました。そして、ブログに載せた文章が10篇になって小冊子にまとめたとき、私はこの「最善の贈り物」という言葉をタイトルにしたのです。
  去年、ある研修会で講師が、私たちを2人ずつの組にし、その片方に相手を背中から抱え上げるように言いました。次に、その相手に「いやだったこと、つらかったことを思い浮かべるように」というと、この度は相手の足が地面に吸い付いたかのように重くて持ち上げられません。最後に講師は、「嬉しかったこと、楽しかったことを思い浮かべるように」と言いました。今度は、まるで本人が飛び上がったかのように、軽々と抱え上げることができたのです。心と体はひとつで、よい思い出は心ばかりでなく体も明るく軽くするということを体験したのでした。
  最近、京都新聞に、健康のために「内臓ストレスを減らそう」という慶応大医学部の伊藤裕教授の記事があり、効果のあるものの1つとして「よい思い出を大切にする」ことが上げられていました。「過去の体験を記憶として体に刻み込み、遺伝子の性質を変えていくという最新の方法だ」とありました。実は、人はそのようにして社会と人類の発展と進歩に貢献し、神の創造の業 に与って来たのではないかと思いました。