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白ヤブ椿

シスター ルース 森

白ヤブ椿
 私が住む修道院の生垣の山茶花(サザンカ)が、今年は例年になく、美しい花をたくさん咲かせました。冬の間ずっと、私は自分の部屋の祈りの小卓に、この赤い山茶花の小枝を生けて元気を貰って過ごしました。先日、生け替えようと思い、生垣に花の枝を摘みに行きましたが、花はどれも終わりかけているようでした。ゆっくりと葉の間を探しながら歩いていくと、隅の一角に白い丸いつぼみのようなものがあるのに目が留まりました。よく見ると山茶花の葉よりも大きい形のよい光沢のある葉がついて、しだれた枝先にはヤブ椿のような形の大きな白い花をつけています。白ヤブ椿です。
 この修道院は17年前に建って、私ははじめからここに住んでいるのですが、この生垣で花の咲く木は山茶花だけだと思い込んでいたのです。この白ヤブ椿の木は植木屋さんにも気づかれず、山茶花にまぎれて1本だけここに植えられ、育ち、住んでいる私たちにも気づかれず美しく咲き続けていたのです。17年も人知れず咲き続けたこの花をいじらしく感じ、また、これほど美しい花が身近にあるのに17年も気づかなかったことを本当に残念に思ったのでした。
 思いがけない発見に、何日も心を躍らせている私ですが、イエスさまが語られた「放蕩息子の帰還」(ルカ15:11-32)のたとえ話の中の父親の喜びを少し深く味わえたように思います。