オポチュニティ・ショップ
　私が1年過ごしたアーンプライヤーというカナダの古い町に、オポチュニティ・ショップという名前の中古品を売る店がありました。あらゆる種類の物品が、きちんと整理されて、店内いっぱいに並べられています。雪の積もる季節になって、カントゥリー・スキーイングに誘われ、私はこの店へカントゥリー・スキー靴を買いに行きました。
　店の入り口のカウンターで1人の女性が小さな赤ちゃんの靴を繕っていました。「かわいい靴ですね。」と声を掛けると、「別々の靴なんですが、ペアーに見えるように工夫しているのです。」と、女性は言いました。
　店の奥に、私の足に合う靴もありました。ふと、左右が違うように感じたのですが、思い違いらしいので、とても安い値段でその靴を買って帰りましたが、家でよく見ると、やはり同じサイズの別々の靴でした。私はその靴を履いて、ひと冬限りのカントゥリー・スキーイングを楽しみました。
　この店の収益は、近くの老人ホームの収入になるとのことでした。「オポチュニティ」（チャンス、好機）という名のとおり、この店のお陰で、人々はよい品を安く買い、物を大切に使い、人を助けるよい機会に恵まれるのでしょう。このアーンプライヤーを私が去るとき、スーツケースに入りきれなかったものと一緒に、このスキー靴ももう一度この店に戻ったのでした。