庭石菖
彼女が6歳の時のことです。
お母さんと庭の草取りをしていた時、5センチ程の茎の先に、小さな星のような花を付けた草を見つけました。
あまりの可憐さに「これは抜かなくてもいいね」と言いましたが、
「でも、雑草だから抜いてね」と言う返事でした。
さらに彼女は言いました。
「これがたった一つしか無い花だったら、お母さんも抜かないで大切にすると思うよ」と。
すると「そうね、でもそれは沢山あって、どんどん増えるから抜いてね」とお母さん。
それ以上 反論する知恵も無く、彼女は仕方なくその草を抜いたそうです。
でも、後年 思ったそうです。
分類されても個々のものは歴史上 唯一つのもの、一回限りのものと。
あなたも私も 誰にも代わりようの無い一回限りの人、 かけがえの無い 歴史上 唯一人の大切な人。
あの花は庭石菖と分類されているそうです。