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感謝を伝えたくて!

シスタージョアンナ徐

 日曜日朝9時20分、タクシーを捕まえようと大通りに出ました。

 この日に限ってあいにく雨が降っています。30分待っても車が来ないので心配になってきました。どうしても10時に到着しなければなりませんが一向に車が来ないのです。 決められた時間が刻々と迫っています。今日に限って車が来ないのです。せっかく来たと思った車のフロントガラスには朱色の「賃走」のサインが目に留まりました。3台ほどの「賃走車」が私の視野から遠のいて行きました。

 ついに「ヒッチハイク」を心に決めました。生まれて初めての体験ですが、このやり方しか考えが浮かばないのです。手を大きく振りました。ようやく一台の車が止まりました。よく見ますと「名古屋」と車のナンバープレートは表示されています。車の扉を開けてくださいました。後方の席は荷物がかなり入っていました。よほど差し迫った様子の私を気の毒に思われたのでしょうか、奥様が「お乗りください」と言われ、彼女は車を降りました。私はご夫妻のご厚意に甘え、車に乗りました。

 ご主人の話によりますと彼の娘さんは4月から京都工芸繊維大学で学ばれるということで、そのため寄宿に必要な生活用品を車に乗せていらしたのでした。  ご主人は「ごく近くですので」と言われ、一面識もない私を車に乗せてくださいました。

 目的地に到着したのは9時55分! 短い道中、彼は名城大学の先生だと紹介されました。今もなお、京都工芸繊維大学のそば近くまで来ますと、「あの時は本当にお世話になり有難うございました!」と両手を合わせ感謝の思いを伝えたくなります。