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目を合わせて

シスター ルース 森

目をあわせて

きょう夕方、北大路駅で地下鉄に乗りました。乗客はまばらです。私のあとから、小学校2年生ぐらいの男の子が飛び乗ってきて、ちょうど私の前の座席にリュックとバッグといっしょに自分の身も投げ出して、「ああ、疲れた!」と言いました。そして、すぐ飛び起きて、ホームに見送る友だちがいるのか、もう動き始めた車両の中から2回も高く飛び上がって、「さようなら」と大きく叫んだのです。

  すぐ、私と向かいあって座った男の子と目が合いました。彼は私をじっと見ていて、目をそらさないのです。私は自分の目の前で繰り広げられたドラマのような元気な男の子の行動を微笑みながら見ていたのかもしれません。私を見ている彼の目も微笑んでいます。そして、彼も私もマスクのまま見つめあって、次の北山駅まで、目だけで、ただただ微笑みつづけました。

  車の降り口の方へ歩きながら、彼は私に「さようなら」と、いいました。私が「さようなら、いい子ね」というと、彼は「うん」と言ってうなずいたのです。ただ2分足らずの見知らぬ男の子との出会いが暖かく深く心に残りました。