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ウグイス

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ウグイス
  修道院の中庭に、そこはかとなく春の気配がかんじられるころになると、ツグミがやってきて地面をはしっては、地をつつき、つばさに白い紋章をつけたジョウビタキもやってきて、しずかだった庭もにぎやかになってきます。
  そろそろ、ウグイスの声もきこえてくるのではないかと、心まちするようになっていたある朝、ラジオで、ウグイスのかわいい話をききました。鳥の彫刻家のはなしです。ウグイスはいわば脳が小さく、また、毎年、リセットされるので、毎年、さえずりを初めから学びなおさなければならないのだというのです。人々がほほえみながら、鳴きはじめのウグイスの声を、「まだ、へただね。」とか、「じょうずになったね。」と、感心しながら話題にするのも、こういうウグイスの事情があるからだと納得したのでした。
  美しいさえずりのために、懸命に努力をつづけるウグイスの姿が目にうかぶたびに、ほほえみが心から湧き上がってきます。そして、私もともかく始めること、そして、つづけること。始めさえすればもう道半ばなのだと、ちいさな小鳥から教えられたようにおもいます。