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手紙

シスタージョアンナ徐

手紙
 私は15年ぶりに東京の妹の家でお正月を迎えた。完成間近のスカイツリーや躍動する東京を楽しんだ。山手線の車窓からふと私の視野にフェルメールの絵が飛び込んできた。東京でフェルメールの展覧会が開催されていた。彼のモチーフとなった青い衣をまとった手紙を読む女の表情がごく日常的で見近に感じられた。又、窓から差し込む陽の光を浴びて手紙に没頭する女性の表情は真剣ではあるが穏やかで心が和んだ。
 それから2月を迎えてまもなく、一通のクリスマスカードがローマ経由で私の手元に届いた。20年来のポーランドの友人からだった。封書の筆跡を見ただけですぐに彼女だとわかった。自筆で書かれた手紙にはその人固有の味と暖かさが感じられる。又、手紙の行間からは彼女の人柄が偲ばれる。彼女は小学生を教えており、自分自身の教職に対する率直な考えや子供たちをどれほど大切にしているか、又、彼女の生き方について書かれている。今、彼女が何を思い、どのように生活しているかを文字そのものが物語ってくれるようで懐かしく感じた。
 手紙を受取る時、楽しみにしているもう一つのことは封書に貼られた切手に出会うことだ。歴史に興味を持つ私を思い、素敵な切手を貼ってくれる友人の細やかな気配りにいっそうの親しさが感じられる。
 そうだ!世界のベストセラーと位置づけられる聖書は愛のラブレターと言えるほど沢山のメッセージを私に送ってくれている。ある時はやさしく、ある時は私に考える機会を与えてくれるモチーフがその中にちりばめられている。 私もフェルメールの青い衣をまとった女のようにひたすらこの愛の手紙に没頭したい。 思いを込めそれに対する返信を今すぐ綴ってみよう。