ふしぎの国のアリス
「ふしぎの国のアリス」
近ごろ、私のまわりで「ふしぎの国のアリス」にかかわる話題が3度もかさなりました。よく知っている題名なのに、どんな筋だったのか思いだせないので、あらためて読んでみようと思い、左京図書館へ行きました。
児童書の書架の前で、立て並べてあるたくさんの本の背表紙をみていって、探しはじめたのですが、どうもうまくいきません。本棚がひくいせいか、私のメガネとうまくあわないせいか、とても探しにくいのです。コンピューターでの検索や、カウンターの職員の方にお願いすることなどを考えはじめたとき、私のとなりで、私のようにしゃがんで本を探しているらしい小学校4,5年生くらいの女の子に気がつきました。「どこかで『ふしぎの国のアリス』を見かけなかった?」と、ちょっと気おくれしながら、私が尋ねると、女の子はすぐに「小さい本だったら」といって、窓がわの本棚へ案内してくれました。本棚のいちばん上の段の最後に真新しい本の「ふしぎの国のアリス」が立ててありました。彼女はまた「古い本の方がよかったら」といって、数冊か前にならんでいる本を取りだして渡してくれました。あの見なれたペン書きの細密画の表紙の本です。
本という「ふしぎの国」で成長したもう一人のアリスのような少女に出会い、そのアリスに助けてもらったことで、私のうちの何かがすこし変わったように思ったのです。