競争
　　曇り空ながら、雨があがった今日の午後、イズミヤへ買いものに行こうとして修道院をでましたが、バス停のある北山通りへ着くまえに、乗ろうとしている 北8のバスが行ってしまうのが見えました。次のバスは30分あとにしか来ません。修道院に帰ってしまえば、もう出かけるのがおっくうになってしまうでしょう。北８のバスが、10いくつかの停留所をめぐって、イズミヤの前に行きつくには、20分はかかるでしょう。私が歩いてイズミヤにいくのも20分ぐらいです。私はバスと競争することにしました。
　　私は北山通りとは反対の方に向かって、できるだけ近道をえらびながら歩き、北大路通りにでて、イズミヤのある方へと歩いていきました。私が乗りおくれた北8のバスの姿はありません。向こうから2台のバスがやって来ましたが、65番のバスと204番のバスでした。歩いて行きながら、やはりもう行ってしまったのかしらと思い始めた時に、向こうからやってくる、もう1台のバスの姿が目に入りました。北８のバスでした。信号が赤になって、競争相手のバスと私は、イズミヤの隣をとおる細い道を挟んで向かい合ったのです。
　　私が勝手にいどんだことですが、競争相手のバスが何か同志のように親しく感じられました。バスと私との競争が引き分けだったことが、とくに楽しく感じられて、曇り空のもと、明るい心で、また歩いて、修道院まで帰ってきました。