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シスター ルース 森


  待降節のある夜、“ベートーベン第九”を聴きにコンサートホールへ行きました。座席についてしばらくして、持ってきた傘がないことに気づき、いっしょにきたシスターたちと周りを探しましたがありません。演奏がおわって人々が去ったあと、もう一度ねんいりに探したのですがやはり見つかりません。狐につままれた思いで会場をでて、立っておられた職員の方に、なくした傘の特徴と座席番号、そして、私の電話番号をつげて帰りました。
  あくる朝はやく、傘がみつかったという電話があり、嬉しくて、すぐに受け取りにいきました。あずき色の取っ手のついた細身の傘にていねいに白い紙がまかれていて、私の座席番号のところで見つかったことが書かれていました。実は、この傘は忘れ物などを処分する街頭のちいさな屋台で買ったのを、気に入って使っていたものでした。2度みうしなわれることなく、私のもとにもどったことがとても嬉しく安らかな心地になりました。
  私たちが3,4人で探したときに見つからなかったことが、いまも不思議なのですが、たくさんの方々の心づかいをありがたくいただいた今年の待降節のできごとでした。