池田さん
池田さん
カトリック教会では、特に11月は、亡くなったすべての方々を記念します。今年 私は高校時代から5,6年のあいだ親しかった池田さんという友人のことを何度も思い出していました。洗礼の準備で、日曜日の午後、教会で聖書の勉強をしましたが、クラスが始まる時間になると、7、8人のグループの中で一番 年若かった私たちから初め、皆で聖歌を歌って、2階で休んでおられるドイツ人の神父様にクラスを始めて下さるように催促したのでした。
はじめ、今年、集中豪雨で災害のあった広島市 可部線の緑井・八木あたりに住んでいた私たちは、やがて二人とも教会のある祇園に移りすみました。かの女はある工場の社宅に住みましたが、私はかの女の家族には1度もあったことがありませんし、今、思うと、かの女はほんとうに清貧な生活をしていたのでした。心臓がよくなかったようで、唇が紫色になり、ミサのあと帰宅する畑中の道で、何度かやすむ必要がありました。それにもかかわらず、復活祭のお祝いの聖劇で、誰も引き受けなかったダンスを創作して美しく舞ってくれたのです。
かの女が亡くなったことを私はあとになって知りました。思えば、私はかの女の年齢も知らず、私たちがいつもどんな話をしていたのかも覚えていないのですが、彼女はいつも私に耳をかたむけ、私を大切にしてくれました。かの女は、人生の意味を深く悟っていたのだと思います。そして、彼女は、その時代も、神さまのもとにいる今も、神さまから私に送られる守護の天使の一人のように感じるのです。