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シスター ルース 森

 台風がすぎ去った昼すぎ、地下鉄 国際会館駅のながいエスカレーターで地上にでると、目の前の明るい空に、虹があざやかにかかっています。思わず虹の両方の足もとを探したほど、大きな美しい虹にしばらくみとれていました。
  駅のそばの苗屋さんで買った数株の苗を手に、宝ヶ池の山べの道をかえって来ながら、川端康成がハワイの空でみたという「丸い虹」の話をおもいだしていました。長いあいだ、この「丸い虹」の話をふしぎに思っていた私も、ずっとのちに、カナダからアメリカへいく空の旅のとちゅうで、雲のうえにうっすらと映っている「丸い虹」を見たのでした。虹の中心には飛行機の影があります。「あれは虹ですよね」と、私は隣の席の乗客にたしかめずにはいられませんでした。後に、百科事典で、霧がかった日に、濡れた機体が太陽の光に反射して「丸い虹」をつくり、それが雲の上に映るのだと知ったのです。
  北山通の本屋さんの前まで来ると、1人の若者が空に向かってカメラのシャッターをきっています。振り返ると、あの大きな虹がまだ空に輝いています。七色のおおきな美しい虹が、神の祝福のように感じられ、私の心もはれていくように感じたのでした。