おみやげ
　　アメリカで開かれた私たちノートルダム修道会の集いに参加した一人のシスターから、おみやげに小さな包みを貰いました。会場でシスターたちが開いていた売店で買ったとのこと。包みを開けると、オレンジ色の円筒形の容器が出てきました。以前、カメラのフィルムが入っていた円筒形の器を少し大きくした形で、白い紙がまかれています。すぐに、私の心の底の方で、子供時代に味わった感覚が湧き上がってくるのを感じました。
　　プラスチックの白い蓋には「注意 子供の目にふれないように」、筒に貼られた紙の最初に「ほほえみ薬局」とあり、「不平を遅らせる」というドクタークレド(Dr. U. R. kured) の言葉がそえてあります。処方として、「１錠を舌にのせ、完全に溶けるまでしっかり唇を閉じておき、必要なら、くりかえし用いなさい」と懇切に指示し、「すぐに、平和、静けさ、落ち着きが得られる。沈黙に包まれる」という薬効で結ばれています。蓋を開けると、あふれるほど入っているカラフルで小さなキャンディの甘いかおりが広がりました。
　　山尾 三省は「わらってわらって」の詩に中に「わたしたちの いのちの 本当の底は/ わらっているのだと ぼくは思います」と書いています。めまぐるしく変化する世の中に生きていますが、ういういしい子供の心、そして、心の底の微笑みを大切にしたいと思います。