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マラソン

シスターメリー・パトリシア久野


マラソン

今年も3月11日が近づいてきました。

数年前の3月11日は東日本大震災復興支援を目的として京都市民マラソンが実施されました。

日曜日でしたのでミサに行くつもりで地下鉄を下車しましたが、教会への道がマラソンの往復の道になっていることをその時初めて知りました。
その道を横切らなくては行けませんが、往復の道になっているところを横切ることはできません。大回りをして他の道から行くことは可能でしたが、もともと時間的にはあまりゆとりの無い状態でしたから教会に行くのはあきらめてマラソンの応援をすることにしました。

全42.195Km で1万4000人ほどの走者となっていました。
震災からの復興を応援するための言葉や、自分のモットーを書いたたすきを掛けている人などがいました。

一か所に立って応援をしていると、時々「ありがとう」といっている走者の声が耳に入りましたので周囲を見回すと、すぐ前の4,5、歳くらいの男の子が目に入りました。
その子は走者に向かって片手を伸ばしていました。最初は危ないなあ、何をしているのかなあ、と思っていましたが、その小さい手に走者が手を触れて「ありがとう」といっているのに気づきました。その子はずっと片手を伸ばしたままでした。走者はすでに30Km 以上走っていますので相当に疲れていたようでしたが、その男の子に気づくとぱっと笑顔になっていました。「ありがとう!」「タッチ!」と言う声などを掛け、その子の手に触れ、笑顔のうちに走り抜けていきました。マラソンはよく人生に譬えられます。陳腐な表現ですが、山あり、谷ありいろいろなことがあります。でも、そのような時、じっと手を差し伸べて自分を待ってくれている存在があったと気づいたときはどんなに嬉しいことでしょう。

恐れることはない、私はあなたと共にいる神。
たじろぐな、私はあなたの神。
勢いを与えてあなたを助け
私の右の手であなたを支える。イザヤ書41

身近に神の存在が感じられますように。