大晦日
大晦日
私はバス停の前の道路の中央分離帯に立っていました。私の前を通っていく自動車の列の中に、私が乗りたいバスもいて、無人のバス停を通過し、赤信号で他の自動車と共に少し向こうに止まりました。道路を渡って、仕方なく歩き始めた私の目に、バスが道側の車道へゆっくりと移って行き、扉が開くのが見えました。私は走って行って、バスに乗りました。
乗っていたカップルが降りて、乗客は私一人になりました。降りるとき私は御礼を言って、ちょうど持っていた2つの小さなケーキを運転手さんの側の台に置いて、「お上がりください。」と言いました。「叱られるから、貰えないんですよ。」と、彼は言います。「誰もいないからお上がりください。」と私は重ねて言いました。「おいしそうだね。でも、叱られるから、気持ちだけ貰います。皆で食べてください。」と、彼は笑顔で言いました。
気ぜわしい一年の最後の日の暖かくさわやかな出来事でした。