クリスマス・カード
クリスマス・カード
ネパールでの3ヶ月の奉仕を終えて、日本へ帰る途中のことでした。飛行機の私の隣の席には中国系アメリカ人女性が座りました。ヒマラヤへトレッキングに行って、腕を骨折し、急きょ帰国するとのことでした。私の骨折の経験を話し、気心が通じました。バンコックのホテルに部屋がなく、私の部屋に一緒に泊まることになり、私たちはほとんど一晩中、語り明かしました。
第2次世界大戦中、彼女のお母さんは中国にいて、小学校の先生として学校で教えていたが、ある日、突然、日本兵が入って来て、お母さんの目の前で、子供たちをみな殺してしまったとのこと。彼女のお姉さんが日本人の男性と結婚して、その男性が日本人に対するおかあさんの恨みを一身に浴びているとのことでした。
翌朝日本へ出発しようとしている私に、彼女はアドレスを書いて欲しいと頼みました。私も“日本人のシスターが、日本兵のしたことを本当にごめんなさいと謝っていたとお母さんに伝えて欲しい。”と頼みました。
あるクリスマスのころ、アメリカから1通のクリスマス・カードが届きました。彼女からでした。10年間、手紙は出さなかったけれど、アドレスを持ち続けていたこと。そして、“シスターが言ったことが全て実現して、私は今ほんとうに幸せだ。”と書いてありました。
平和を願ってくださるイエスさまのご降誕の一条の光が、この家族にも差していることを知って、喜びに包まれたのでした。