ドングリ
　数年前、植物園を歩いていたとき、木の根もとの落ち葉を掻き分けて、何かを探しているご夫婦らしい人たちに出会いました。「ドングリは先端から根を出すので、それを子供たちに見せたいので」と言われたので、私もいくつかのドングリを土と一緒に持ち帰りました。何週間かの後に、確かにドングリは先端から根を出しました。
　昨年、秋も深まったころ、韓国へ帰る友人と洛北を散策し、深泥池の東側を少し入ったところにある小さな林に座ってお弁当を開きました。ふと地面を見ると、あちこちの小さな窪みにドングリが転がっています。見ると、あるものは先端から根を出し、あるものはその根をちょうど土に入れるところ、また、あるものはもう根を下ろして、地面から立ち上がり、厚い身を開いて、中からか細い緑の双葉を覗かせています。まるで成長過程の標本を見ているようです。私たちは感嘆の声をあげました。そして、ドングリは私が思っていたとおりではなく、ちょうど逆さまになって育つのだと分かったのでした。
小さなものの持つすばらしさを、外国人の友人と共感できたことを嬉しく思うとともに、日常、私たちが当然だと思っていることで、そうでないことも多いのかもしれないと反省させられた出来事でした。