ブルーベリー
<ブルーベリー>
吉野弘の「祝婚歌」に、「正しいことを言うときには/ 少し控えめにするほうがいい/
正しいことを言うときには/ 相手を傷つけやすいものだと/ 気付いているほうがいい」と
いう言葉があるのに心が留まりました。
何年も前に、1鉢のブルーベリーを育てたことがあります。小さな木に小さな花が咲きました。ベランダのこんな小さな木の花にも、1匹の小さな黒い蜂が来て、花粉を運んでくれたので、いくつかの実がなりました。次の年には、木も少し大きくなり、たくさんの花を付けました。すると、今度は2匹の蜂が来て働いてくれました。
妹の家を訪ねたときこの話をして、「この蜂たちはご夫婦かもしれない。」と私が言ったので、食卓が楽しい笑いに包まれました。理科の教師だった妹の主人が、「働き蜂はみんな雌蜂だから、ご夫婦のはずはないけれど、お姉さんの夢を壊さないように黙っていた。」と後で言ったと、何かの折に妹が私に教えてくれました。
それからブルーベリーは、私にとって、自然の仕組みのすばらしさと、人の心の優しさを告げてくれるものとなりました。