ヤマアラシ
ヤマアラシ
カナダにいたとき、冬枯れの河原の木の上に座っている見慣れない動物を見つけたことがあります。猿ぐらいの大きさです。一緒に歩いていた友人が「ポキュパイン」だと教えてくれました。じっと孤独に耐えているような姿が印象的でした。後に、日本にもいる「ヤマアラシ」の仲間だと知りました。
先日、日曜学校の先生たちのための研修会で、太田神父様が、哲学者のショーペンハウエルの「ヤマアラシの距離」という比喩を紹介してくださいました。
「冬の寒い夜、2匹のヤマアラシが野原で会いました。風が吹き、寒くて仕方がありません。そこで、互いの体温で暖め合おうと、二匹が近寄ったところ、近寄りすぎて、自分たちの持つ針で互いを傷つけ合い、とても痛かったといいます。これではいけない、と離れると、二匹の間を風が、通り抜けて行き、また寒いのです。
そこで二匹は少しずつ近づき、互いの針で互いが傷つかない程度で、しかも体温を感じられる距離を保ちながら、夜が明けるのを待った。」という話です。
どんな人間関係も、一人一人の自律と互いへの尊敬を表しながら、暖かな「距離」が必要なのだと納得したのでした。