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ハイビスカス

シスターアン・ミリアム木村

 昨年の夏、サマープログラムが終わりに近づいた時、プログラムに参加されたシスターから、「あなたは何色の花がすきですか」と聞かれてすかさず、「紅い花がすきです」と答え、「あ、またやってしまった」と、一人で笑った私に、真っ赤な花を咲かせるハイビスカスが贈られました。

 手帳、ペンケース、シャープペン、財布、小銭入れ、目覚まし時計、ブックエンド、私の周りにあるちょっとしたものは、赤系統です。「どちらがいい?」と聞かれると「赤い方」と答えます。

 子どものとき、洋服やその付属品など、母は赤い色を選びませんでした。似合わないというのです。クリーム色とか、薄緑とか、少し地味な色のものを着せられました。父は私に、ピンク系のものを着せたがりました。父が買ってくれるのは、何でもピンクでした。私も決して赤いものを着たいと思いませんでしたし、母が選ぶ色も、父が選ぶ色もきらいではありませんでした。

修道院に入って、周りは黒一色になりました。私は黒が好きになりました。今も好きです。でも、一方で私は、明るい色に憧れました。今まで以上に、その明るい赤に心を躍らせました。そして、ふと気がつくと、自分で選ぶことのできる、ちょっとしたものは、赤系統の色になっていたのです。

 昨年、秋が深くなった時、ハイビスカスを部屋の中に運び入れました。日当たりの良い場所において、大切にしました。「また、花を咲かせてね。赤い大きな花をね、お願いよ」と言いながら。

 ハイビスカスは私の声を聞いてくれたようです。朝、ガラス戸を開けると、たった一日しかもたないこの花が、次々と精一杯に開いています。この映像よりも、もっと濃い、素敵な色で咲いているのです。
「素敵よ!」と、語りかけながら、サマープログラムに参加したアメリカのシスターたちを思い出しています。独立祭を楽しく祝っているのかな。
                       7月3日 シスターアンミリアム木村