大きな命から
大きな命から
私が住んでいる修道院の聖堂の祭壇の側に、背の高い十字架が置かれています。その
足元に今、一鉢のデンドロビュームが美しい花を咲かせています。白い大きい花弁の端を
ほんのりとピンクに染めて咲くその姿は静寂そのものです。
この蘭の鉢を私は一昨年のクリスマスに頂き、花が終わった後は、私の部屋のベランダの隅に置き、時折、水をやっただけでした。
今年の早春のある朝、思いがけなく花芽を付けているのを発見しました。花芽は本当に
ゆっくりと成長して、この5月半ばにやっと最初の花を咲かせました。
聖堂の私の席の真ん前で、蘭は静かに次々と花を咲かせていきます。花も葉もつけず、背も伸びない茎は、他の茎に養分を送っているのだとか。
デンドロビュームのひたすらな姿は、大きな命から、ともに命を頂いて、今、ここで、ともに生きているのだと実感させてくれます。