鹿ケ谷修道院の閉鎖に伴って、日本地区のアラカイブ（記録資料保管所）が岩倉修道院に移され、担当者の私も昨年１２月に岩倉修道院共同体のメンバーになりました。

岩倉修道院に至る道はかなり長い坂道です。途中で立ち止まって振り返ると、真正面に比叡山の美しい姿が目いっぱいに飛びこんできます。鹿ケ谷では山を目指して登りましたが、岩倉では比叡の山に背中を押されて登ると思うと、なんだか楽しくなります。背筋を伸ばし、少しふんぞり返るような格好でゆっくり歩を進めます。比叡の山に見られているからです。曲がり角に着くと平坦な道になり、その時には振り返っても比叡の姿は見えません。

初めて迎えた岩倉の春は、近所のお屋敷に植えられた梅や桜が次々と塀越しに姿を見せて華やかでした。週に三日間ノートルダム学院小学校に通う私は、朝、比叡山と朝日に向かって坂を下ります。春から夏、朝日は比叡山からのほとんど頂上近くから光を放ちます。秋から冬に入りますと、比叡山から離れ、南に移ってかなり上まで登っています。

今年、ゆっくりと始まった紅葉は、日ごとに見事な色合いを深めていきました。京都ヴィラのあたりからバスは紅葉のトンネルをくぐり、深泥ヶ池をめぐる山々のパノラマを見せて走ります。岩倉は素敵です。一度、お出かけくださいね。