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タッチ

シスター ルース 森

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  最近、ある日曜日の出来事をよく思い出します。

その日、高野教会から北泉通りの横断歩道まで帰って来ると、むこうから一人の女性が自転車に乗ってやってきます。見ると、その後に小さな男の子が三輪車で続いています。まだペダルのない三輪車です。一生懸命、かわいい足で地面を蹴って横断歩道を渡り切って、私のそばに着きました。「すごいね!自転車、じょうずね!」と、私は思わず声をかけていました。母親らしい傍の女性に男の子の歳を尋ねると、3歳とのことでした。「すごいですね」と、私は女性に言いながら、何か言葉以上のやり方で男の子を褒めたいと、思ったとたん、自分でも思いがけなく、「じょうずね!」と、言いながら、フェイスブックで見かける、拳に親指を立てる「いいね」サインの腕を男の子にさしだしていました。そして、もっと驚いたことに、彼も同じサインの腕を私にさしのべ、おまけに、私の拳にタッチまでしてくれたのです。たまたま通り合わせた何人かの人々も加わって、横断歩道の片側で、見知らぬ者たち同志が小さな男の子を中心にして、ひと時、楽しい笑いの輪に包まれたのです。

  この小さな出来事を思いだすたびに、毎日のようにテレビに映し出される、戦争の渦中で苦しむガザの子ども達の姿や顔が浮かんできます。子ども達が笑顔を取り戻せるように、大人たちの心に愛が芽生えますように、子供たちの為に戦争が終結しますようにと祈り続けています。