1. HOME
  2. ニュース
  3. シャローム・ニュース
  4. シャロームメモ第59号

ニュース

シャロームメモ第59号

シャロームメモ

2023年9月1日

第59号

 

 

[.]  被造物を大切にする世界祈願日/すべてのいのちを守るための月間

    日本のカトリック教会では、9月の第1日曜日を『被造物を大切にする世界祈願日』と定めています。今年は9月3日がその日に当たります。また、9月1日からアッシジの聖フランシスコの記念日である10月4日までの1ヶ月余りが『すべてのいのちを守るための月間』です。これは「すべてのいのちを守るため」をテーマに2019年にフランシスコ教皇が来日され、生き方を新たにする助けとなる多くのメッセージを残してくださったことを受け、日本のカトリック司教協議会が制定し、2020年以来実践しているものです。

 

「被造物を大切にする」そして「すべてのいのちを守る」ためには、被造界はすべてつながり支え合っているわけですから、物事を「今、目の前に見える現象」として見る以上に、地球規模で、また幾世代にもわたる長期的視野に立って見る必要があります。

 

2011年3月、大津波による事故で破壊された東京電力の福島第一原発では、事故から12年を経た今も燃え残りの核燃料を水で冷却しながら取り除く作業を続けています。けれども冷却に使った放射能で汚染されている水をため置くタンクのスペースも限界になったことから、「安全性を確保しながら」8月24日に「処理水」の海洋放出を始めました。政府によれば、放出する廃水内の放射性トリチウム量は海水で安全基準値以下に十分希釈しており、IAEA(国際原子力機関)にも安全性が保障されているとしてこの度の決断に至ったということですが、カトリック正義と平和協議会では、処理水の海洋放出に以下の「抗議声明」を出しています。地球規模の長期的課題として考える参考にしてください。

 

『被造物を大切にする』には、前述のように地球規模の、また長期的な視野が必要です。それと同時に、一人一人の、また共同体としての日々の在り方が直接かかわる問題でもあります。今年の『すべてのいのちを守るための月間』には個人として共同体としての在り方への祈りと取り組みと同時に、地球規模で世代を超えた視野を持った祈りと行動にも焦点を向ける機会にできればよいと願っています。今の自分たちにできることを共に考え、ささやかなことでも取り組んで行きましょう。

ALPS処理水」海洋放出についての抗議声明

 日本カトリック正義と平和協議会は、東京電力福島第一原子力発電所で発生する大量の汚染水を多核種除去施設(ALPS)にかけた、いわゆる「ALPS処理水」を海洋に放出する政府の決定に厳重に抗議します。

 政府は、東京電力福島第一原発の「ALPS処理水」に含まれる放射性核種トリチウムは、自然界にも存在するもので、福島第一原発に限らず、稼働中のどの原発からも排出されているのだから問題ないと説明します。
 しかしながら生物の体内に入ったトリチウムは、化学的性質が水素と同じであるために細胞内に取り込まれて長く留まり、内部被曝を行い、DNAを破壊することが指摘されています。海に流されたトリチウムは、こうして継続的に生態環境に入り込み、食物連鎖によって蓄積し、濃縮されていくことになります。トリチウムは、いかなる理由でもこれ以上海洋に排出すべきではありません。

 また政府のこうした判断に同調する一部のマスコミは、自国の原発からのトリチウム排出を容認しながら、福島第一原発からの「ALPS処理水」排出に抗議する近隣諸国を、福島バッシングをしているのだと、報道します。
 しかしながら、「ALPS処理水」は、溶け落ちた燃料デブリに直に触れた汚染水です。事実、「ALPS処理水」からはトリチウムだけではなく、ALPSでは除去できなかった様々な放射性物質が告示濃度を超えて残留していたことが、20188月、メディアによって明らかになりました。しかもその後、現在タンクに貯められている「ALPS処理水」の約7割に、排出基準を超えた放射線核種が含まれていることも明らかになりました。政府は地元住民、漁業関係者、東アジア、太平洋諸島など、国内外の人々の抗議の声に謙虚に耳を傾けるべきです。

 このように「ALPS処理水」には多くの問題があるにもかかわらず、政府は、残留される放射性物質は十分に希釈されているのだから問題はないとの説明を繰り返します。

 しかし重要なのは濃度ではありません。海洋放出をいつまで行い、最終的にどれだけの量の放射性物質を海に流し、どれだけ海を汚すのか、ということです。しかも汚染水は今も増え続けています。燃料デブリの取り出しが完了しない限り冷却水は必要なのに、その作業は大幅に遅れ、その工法さえ確定していません。汚染水最大の原因である地下水、雨水の流入を止めることもできていません。海に流される放射性物質の総量は明らかにされていません。

 あらゆる環境破壊は、少しなら大丈夫、という私たちの怠慢から起きた問題です。放射性物質もまた、一日あたり、魚一匹あたりの線量が少ないから大丈夫、ということではありません。放射性物質は臭いも痛みもなく、少しずつ私たちのいのちを侵食し、いずれ取り返しのつかない生態環境破壊を生むことになるでしょう。「ALPS処理水」海洋放出は、私たちの「家」である地球、青い海と豊かな山野への暴力です。この暴挙を決して許さない決意は、未来の地球、未来の子どもたちに対する私たちの責任、倫理の問題なのです。

 カトリック教会は、この世界は神がきわめてよいものとしてお造りになったと信じます。神が造られたすべてのものはつながっており、互いを必要とします。そのつながり、その循環を紡ぐ者として、私たち日本カトリック正義と平和協議会は、政府の「ALPS処理水」海洋放出に厳重に抗議します。
 
「人の子よ、あなたはティルスのために、嘆きの歌をうたいなさい。 海の出入り口を支配し、多くの島々を巡り、諸国の民と取り引きを行うティルスに向かって言いなさい」(エゼキエル書272-3)。この聖句に励まされて。

Prot.no.SC-JP23-03
2023年824
日本カトリック正義と平和協議会
会長 ウェイン・バーント
担当司教 エドガル・ガクタン
協議会一同

 

[.] 関東大震災から100年目の今年、歴史が問いかけていること

 

1923年9月1日午前11時58分、神奈川県相模湾を震源とするマグニチュード7.9の大地震が起こり、首都東京を含む関東一帯で10万5千名に及ぶ死者・行方不明者が出ました。これは、日本近代史上最大規模の自然災害でしたが、この混乱のさ中で「朝鮮人が火をつけた」「井戸に毒を入れている」などのデマが飛び交い、官憲からの指示もあって民間の自営団が加わり、朝鮮人と間違われた中国人や日本人も含めて数百名から6千名に及ぶ人々が虐殺されたといわれます。公的記録が残されていないため確かな数は確認できませんが。一方現在でも関東大震災における朝鮮人大虐殺自体を「なかった」と否定する立場の人々もいます。しかし、小学生たちの大震災の恐怖を綴った作文や絵、画家や教師による絵画、壮大な絵巻物などに生々しい描写が残されていますので、「虐殺はなかった」とする見方には無理があります。厳しい歴史の現実はなかったことにするのではなく、この現実に向き合うことで人類として共生の未来に向けて更に進化・前進するよう招かれているのではないでしょうか。

8月30日のNHKクローズアップ現代で紹介されましたが、森達也監督による映画「福田村事件」が9月1日から全国で一斉公開されます。京都市内では「京都シネマ」で上映されます。9月1日と3日から7日までは午前11:55と14:35の1日2回上映、8日から14日までは昼12:45の1回です。上映時間は約2時間です。15日以降の予定は未定です。「福田村事件」の鑑賞が私たちにとって,歴史の呼びかけに応える機会につながることを願います。

 

[.910日~16日は自殺予防週間です

我が国では、自殺対策基本法に基づき、毎年910日から16日を「自殺予防週間」と定めて、国、地方公共団体、関係団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出した啓発活動を推進しています。(厚生労働省のホームページより)

この期間には特に以下の人々やグループを思い起こし特別に祈りましょう。

  • 今までに自殺した方とその遺族や友人
  • 今、自殺したいほど苦しんでいる方
  • 自殺予防に取り組む個人や団体

 

[.] 回勅「パーチェム・イン・テリス」発布60年記念講演会

この記念講演会は9月4日(月)18:30より東京・四谷のイグナチオ教会で開催されますが、オンラインでの配信もあります。以下のURLからご視聴ください

 

https://us06web.zoom.us/j/83697369751?pwd=RDhXOTF6N2FZVllkbzdYTUFGekxjdz09

希望者にはこのURLを送信いたしますので右のアドレスにお申し出ください(j-kamada@ssnd.jp)

ミーティングID: 836 9736 9751 パスコード: 114500

当日の資料はこちらからダウンロードいただけます。(有効期限 2023年9月13日 15:59まで)

https://upload.hdedrive.com/ui/cbcj.catholic.jp/dl/SB1693378753-9b0b8a6a-b144-44c7-aabc-1a4db917cd18

ダウンロードパスワード: 7T4bHW^54yet

終了後、以下のサイトより、「アンケート及び感想フォーム」ご記入のご協力をお願いします。

https://x.gd/mqwLt     川崎哲さん執筆 岩波ブックレット『核兵器禁止から廃絶へ』についてのご案内

 

60年前にヨハネ23世教皇による「パーチェム・イン・テリス」が発布されたキューバ危機の時期と、今の時代状況は大変似通っています。「防衛」に名を借りた際限ない軍備拡大と核兵器開発はやむを得ないとの思いがジワリと民間にも拡がってきていることです。改めてパーチェム・イン・テリスの原点に立ち返り、今私たちは何を知り、どう祈り行動すべきなのかと一緒に考えましょう。

 

[.] 9月9日(土)アルツハイマーを知るイベントが開催されます

京都市役所前広場で10:00から15:30までイベントがあります!楽しみながら認知症についてよりよく知る機会です。自分のためにも、助け合うためにも助けになることでしょう。

是非お立ち寄りください。