みなしごハッチ
みなしごハッチ
2009年に、私たちの修道会のホームページに「シスターの散歩道」というサイトができました。シスターたちの折々の思いや祈りを分ち合うサイトで、はじめに一言、あいさつのことばを書くとき、私がシスターになって初めてクラス担任をした、ノートルダム女学院中学1年A組の生徒のみなさんの顔がうかんできました。帰りのホームルームをしに教室へいくと、全員が後ろの戸棚にかくれていたり、お掃除のときに雑巾が1枚のこらず行方しれずになっていたり、楽しくいたずらができる明るいクラスでした。そして、ある時、教卓の上に一匹の蜂が置かれていて、「みなしごハッチ」と書いてあったことも思いだし、クラスの生徒のみなさんに何か寂しい思いをさせていたのではないかと、半世紀もたっているのに心が痛んで、あのクラスの1人ひとりが幸せであるようにと祈りながら、あいさつのブログを投稿したのでした。
それから10年、今年はコロナウイルスの影響もあって、私もブログの投稿だけでなく、ズームなどのオンライン会議もするようになりました。先日、教えてもらうために、コンピューター専門の方に来ていただいたのですが、驚いたことに、その人があの「みなしごハッチ」の1人だったのです。学校で働くかたわら、資格を取ってコンピューターの専門家になっていました。私のどんな問いにも明快に応じてくれる彼女に感嘆しながら、他の「みなしごハッチ」たちも、それぞれたくましく社会で活躍しているに違いないと、心から嬉しくなったのでした。