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コロナに思う <中> 教皇フランシスコ

シスタージョアンナ徐

3月下旬、私はYou Tube の一つの画面に釘付けになりました。

 5年間住み慣れた懐かしいローマのサンピエトロ広場が映し出されています。この日に限って、これまで見慣れてきた広場とは違った不可思議な光景がクローズアップされました。いつもなら、3月下旬のサンピエトロ広場は春の陽気で輝くばかりのはずでした。そしてだれもが笑顔で挨拶を交わし、ひと目でもいいから教皇に会い祝福を受けたいと一縷の望みをもった旅人たちが集う場でもあったのです。しかし、私の思いはかき消されてしまいました。雨に濡れる無人の広場は悲しみに耐え、何かを必死に訴えようとしているように思えたのです。 

 バチカンに何か「異変」が! 画面を凝視していた矢先、コンピュータのキーボードに涙がこぼれ落ちました。教皇フランシスコは雨に濡れながら寒々とした中央壇上に向かわれます。いつもの人懐っこい教皇の姿はなく、一人の白衣をまとった孤独な修道僧フランシスコがマイクを前にしています。一瞬背筋を延ばし彼が語るのを待ちました。今もその画面が脳裏に焼き付いて離れません。

 教皇フランシスコは「コロナウイルスのパンデミックは人類に対する神の裁きではなく、何が一番大切かを見極め、今この時から行動に移していくようにとの神の呼び掛けです。」( バチカン 3月27日CNS )と強調され、その後、ローマと全世界へ祝福を送られたのでした。

 新型コロナウイルスの終息を神に向かって嘆願する教皇の姿を画面で追いながら、日常の自分の在り様を振り返る厳粛な「時」を過ごしました。先端医療技術を誇る私たちですが、コロナウイルスとの格闘を前になす術もないのです。

  無力さを痛感する日々のさなかにあって私たちは教皇フランシスコとともに「全能のいつくしみ深い神が民の苦しみを顧み、慰めを与えてください(教皇の祈り)」ますようにとこうべを垂れ、祈り続けます。