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シスター ルース 森


  旅は見聞を広めてくれるだけではなく、自分についても多くのことを教えてくれます。立て込んだ仕事をしながら、この旅行の準備もしなければならなかったので、持って行くものを特に注意して取り分けておき、出発の朝には、何をおいても、那覇への航空券とお財布だけは持たなければと、バックのなかを確かめて出かけたのでした。
  空港で荷物をあずけ、カウンターで手続きをするとき、切符が1枚しかないことに気づきました。帰りの切符がないのです。取りに帰ることも、探して、持ってきてもらう時間もありません。ともかくゲイトまで行って、よく調べてみようと思いました。ゲイトの椅子に座ってバッグの中をていねいに調べましたが、やはりありません。いろいろ考えているうちに、こんな、切符をなくすようなことは、私にだけでなく、他の人にも起こるのではないかしら。きっと何か手だてがあるに違いないと思うようになりました。ゲイトのデスクへ行って、事情を話しました。「帰りの切符も予約して、代金が支払ってあるのだから、当日、本人確認ができれば大丈夫だ」と聞いて、本当にほっとしました。最後に、「持っている切符を見せてください。」と言われ、出してみると、それには行きと帰りの両方が1枚の切符に印刷されているのでした。
  切符は行きと帰りとで2枚だと思い込んでいる自分、そして、切符に印刷されていることをよく見ていない自分に気づかされたのでした。「見えるようにしてください。」と願った、聖書の目の見えない人の謙虚な姿が思い出されました。