梅の花
梅の花
友人から頂いた梅の花を瓶に挿して眺めていると、自然に歌ができました。
「瓶に挿す梅の小枝のつぼみ一つ今朝は開きて春めくわが部屋は」
「神苑の白梅の枝われにくるる少女の指のやはらかきかな」
詩人の谷川俊太郎さんは「日本語という豊かな畑に植物みたいに根を下ろして、自分を空っぽにして待っていると、水を吸い上げるようにして言葉が出てくる」と言いました。私たちの心は奥深く日本文化を宿しているようで、折に触れて歌が生まれます。
「信号を待つかたはらに幼子がふと口開けて雪の片受く」
「春浅き道に呼ばるる思ひして振り向けば咲く蝋梅の花」
「古き堀の菱の葉上の小亀一つわが寄り行けば水に隠れぬ」
紬織りの佐々木苑子さんが「自分の呼吸、血液、心臓の動きに自分を合わせるようにして、祈りながら織る」と話しておられるのを聞いたことがあります。
遠い祖先から心身の奥深く受け継いでいる日本文化を、私も大切にしたいと思います。