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まりも

シスターメリー・パトリシア久野


コップの中に緑色の藻がうじゃうじゃとしているのが、長いこと家にありました。
なんだかきたないなあと思っていましたが、誰かが時々水を足しているらしく、枯れもせず置いてありました。

ある時それは、妹が中学校の修学旅行で阿寒湖に行ったときお土産に買ってきた まりも の成長したものだということがわかりました。
買ってきたときは1センチほどの丸いものだったそうです。
それが何年かたつうち、立派に育って藻が伸びていったもののようでした。

まりも は丸いものと思っていましたが、あれは湖底の水質や複雑な水流によってあのようになっていくものということを初めて知りました。

コップの中一面に広がっている藻をお箸でくるくるとまとめてみました。
その時だけはちょっと固まるのですが、しばらくするとまたほどけていきます。
結局あきらめて、うじゃうじゃと広がっていくのに任せました。

妹が嫁いだ後もしばらく家にありましたが、いつの間にか無くなっていました。

その妹は10年程前の2月に48歳で亡くなりました。
あの まりも が残っていれば大切に育てるのになあ、と思うことがあります。

人間は形あるものを通しても、大切な人と繋がっていたいもののようです。