言葉を超えて
言葉を超えて
私が乗った地下鉄の車両は混んでいて座るところがありません。ふと、座っている一人の男性と目が会いました。その目は「ここに座りますか。」と尋ねているようです。私は肯きました。彼はすぐ立って、席を私に譲ってくれました。
隣の席の女性は、彼の連れのようです。見ると、彼女が見ている京都の市街地図の文字は英語のようです。外国からの旅行客かも知れません。
次の駅で、向かいの席が空きました。私は男性に、「サンキュウ。アイル ゴウ ゼア。」と言って、向かいの席に移りました。男性が元の席に座ったとき、隣の女性の目が私に微笑んで、「ありがとう。」と言っているようでした。 彼らが電車を降りていくとき、私たちは目で、暖かい別れの挨拶を交わしました。
ある会合で、仏教のお坊さまが「沈黙の対話というものがある。」と言われたことを思いだしました。
神様こそ私たちの深い沈黙の声を聞き取ってくださると思います。