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空の手

シスター ルース 森

空の手
 ある日曜日のミサでのことです。財布を家に忘れてきた私は、献金のとき、「今日は財布を忘れて来てしまいました。」といって、隣の人に献金の籠を廻しました。そして、何も捧げることのできない落ち着かない気分でいました。
 ふと、子供のころ読んだ「月の兎」というおとぎ話を思い出しました。「昔、森の中に猿と狐と兎が住んでいたが、ある日、旅に疲れ、飢えて、死にそうになっている老人に出会い、猿は木に登って、木の実を取り、狐は川で魚を取って、旅人に差し出したが、兎は何も差し出すものがないので、『私を食べてください。』と言って、焚き火の中に身を投じた」という兎の話です。
 私は心の中で自分自身を捧げることにしました。思えば、私の修道女としての奉献は自分を余すところなく捧げるということです。そして、みどり児として世に来られたイエスさまこそ、私たちのために、ご自身を完全に捧げてくださったのだと改めて分かったのでした。