雪の日
その方は金沢に嫁ぎました。
金沢での最初の冬のある朝、一面の銀世界に驚き、ご主人を玄関先で送るとき思わず言ったそうです。「まあ、きれい」と。
すると、ご主人の手が頬に飛んできました。「今から出かけようとする人の気持ちを考えていない」と。
雪は本当にきれいです。
でも後に、ホームレスの方々と関わるようになった時思ったそうです。
今、あの方々はこの雪の中でどうしていらっしゃるのかしら。
全ての人が雪の美しさを、喜びあえたらいいのにと。
80歳を過ぎた今も、雪景色の美しさの中に痛みと悲しみを感じるそうです。