皇帝ダリアに想う
小竹藪町修道院の庭に出て、かつて皇帝ダリアが見事な花をつけていた場所にたたずみました。今は跡形もありません。
この花が小竹藪町修道院の庭に植えられて1年後(2015年)、私は本部修道院(現松ヶ崎修道院)に移り、このダリアとは次第に疎遠になっていました。このダリアを放置し、この命を翌年に伝えられなかったことがいまだに悔やまれてなりません。
このピンクのダリアはキク科に属し、原産地は南米のグアテマラやメキシコです。3月上旬から5月下旬が植え付け時期で、数年前に植え付けてくれた友人の好意を思い出しました。11月下旬、皇帝ダリアが見事な花をつけたとき、その姿をカメラに収めたのは言うまでもありません。毎朝、新鮮な空気を思いっきり吸い込み、皇帝ダリアをはじめ、庭の樹々に挨拶します。見上げるほどの樹木に触れ「有難う、今日も元気で!」と語りかけ、深呼吸する朝のひととき! 冒険とチャレンジの一日が始まります。
初めて「皇帝ダリア」と聞いた時、歴代の皇帝たちの姿を連想し、さぞ立派な大輪の花だろうと思ったものです。しかし、この皇帝ダリアは謙虚で気品があり、大空に楚々と立つその姿は「王の中の王」と呼ばれるキリストの姿を思い起こさせます。みんなを包み込むような愛に満ちた約2.5メートルの雄姿!
ローマ教皇フランシスコは、回勅「ラウダート・シ」の中で命の尊厳、そして生きとし生けるものが互いに共存することの大切さを強調しています。人も動植物も次世代に命を伝えるためにはどれほど多くの愛を注ぎ、思いをかけなければならないかを教えてくれた皇帝ダリアが今は愛おしくてなりません。