要石（かなめいし）

　　米国ミズーリ州セントルイスにある私たちの修道院に滞在していたとき、ミシシッピー河畔の国立公園に建てられているセントルイス・ゲートウエイ・アーチを見学したことがあります。かつて人々が夢と希望をいだいて西部開拓にむかった歴史的起点だったことを記念して、1901年から3年半の歳月をかけて建造された、小型飛行機が通り抜けられるほど巨大なアーチです。地下からアーチの中を4人乗りの球形トリムで最上部の展望台にのぼり、ミシシッピー河の景観やカーデイナルズのホームグラウンドの大球場、モーセの十戒が掲げられている旧裁判所のある市街地を眼下に見ることができました。　アーチは両足から建てられ、頂上に両端をつなぐ楔(くさび) 形の要石をはめて完成されることも知りました。

　　最近、陽の光をうけて輝くセントルイス・アーチを思いうかべたとき、「要石」と呼ばれる石が空中にあるということを何か奇妙に感じたのです。そして、今は民間人も宇宙を旅する宇宙時代が始まっていることに思い至って、心が落ち着きました。辞書から「要石」は人についても言われること、また、最近、「告白録」を書いた聖アウグスチヌスが、キリストを「平和をもたらす要石」と言っていることも知りました。「世の終わりまで、いつもあなたたちと共にいる」と言われるイエスを仰ぎみながら、この新時代の平和のために、修道女としての私の務めを果たして行こうと思うのです。