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錦秋に想う

シスタージョアンナ徐

私が住んでいる松ヶ崎界隈の錦秋は本当にゴージャーズで銀杏並木路を歩くのがいつしか秋を楽しむ私自身の風物詩となりました。今年は例年より早い紅葉を目にしながらこの秋をもう一度意識して迎えたいと目を凝らし、自然の移ろいを肌で感じています。

2011年、韓国・ローマから15年ぶりに戻って味わった京都の秋の美しさは格別で、一瞬息を飲むほどでした。銀杏の木々の微妙な色合いの変化を観るのが好きです。朝の光の中で黄金にあけ染めるさまはあたかも「色と光のシンフォニー」と勝手に命名するほど素敵でした。あと何回この美しさを味わえるのかと、この錦秋に浮かぶ自然の移ろいを感慨深く思ったものです。そのような年齢に達している自分を、もう一人の自分が眺めていることに驚きました。それは一瞬のことでしたが、私に与えられた尊い時間を大切に過ごしたいと強く思う今日この頃です。

このような思いに耽っている間に、一年もあと1か月余を残すのみとなりました。自分史を振りかえって見ますと、生後2日しかもたないと告げられた両親が、風前のともしびとも言えるこの命を慈しみ、「今」を迎えるほどに愛を注ぎこんでくれたのでした。そして、私が過ごしているこの修道家族の中でこの命を、いろいろな形でつなげ見守られているのを感じます。この命の悲喜こもごものすべてを両手で押し頂き、どのような小さなことでも私の一部と思い受け取りたいと思います。これは生きている証し、命の営みをさせていただいていること自体が私にとっては一種の奇跡です。その奇跡は神様がお許しになるその日まで続けられるのです。

11月は特に命の尊さを意識する季節で、一年を振り返り、自分自身の命と他者の命を思いめぐらします。また、命の源である神を思い、やがて訪れる幼子イエスの誕生を心待ちにしながらイエスの命へとこの命が繋がっていけますように。