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帰り道で

シスター ルース 森

帰り道で
  大阪であった研修会の帰途、中ノ島で京阪電車に乗りました。電車は混んでいて、連れの二人のシスターたちはかろうじてばらばらに席を見つけて座りました。入り口近くに立っている私を気遣ってくれる様子のシスターたちに、「大丈夫。心配しないで」と私は目顔で答えました。
  電車が動きだしてしばらくして、「座らなくてもいいですか」と遠慮がちにいう若い女性の声がしました。振り返ると、一人のシスターの隣に座っていた若いカップルの女性の方でした。男性も席を立ってこちらを見ています。せっかくの席を譲ってくれるカップルに申し訳なく感じながら、本当にありがたく座らせていただきました。「あんなカップルを心から祝福して上げたいわね。」とささやく隣のシスターに私も同感でした。彼らは何事もなかったように入り口の方に立って語り合っています。「あの子は太陽という名前よ」とシスターがそっと指差す方を見ると、前の席に並んで座っている試合帰りらしい小学生たちのグループのなかの一人がかかえている大きなバッグに「○○太陽」と書かれています。若いカップルのお陰で、私はほんとうに自分が太陽の暖かな陽に包まれて座ってように感じていたのでした。
  最近 読んでいる本に私がはさんでいるしおりには「親切は神のことば」と書かれています。若いカップルの優しい心がこの小学生たちの心にも届いていて、親切な心が広がっていくにちがいないと私は思います。