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 先日、「ヒマラヤの貴婦人」と呼ばれる幻の蝶、ブータンシボリアゲハを、日本蝶類学会の調査隊がブータンの森林で約80年ぶりに確認したという新聞記事に目が留まりました。黒地に白い縞模様で、尾羽に大きな赤い文様を持ち、羽を広げた幅が12センチにもなるという美しい蝶の写真に心が躍りました。
 何年か前、深草の青少年科学センターの温室で、オオゴマダラという沖縄の蝶を見たことがあります。白地に黒点を散らし、広げると10センチにもなる羽をゆっくりとひらひらさせて飛び、
人の頭や眼鏡にも止まる蝶で、何よりもその蛹(サナギ)が金色に輝くのを見て驚いたのでした。飼育員の方が、「蛹の中でどのように羽ができ、蝶になるのか不思議です」と言われたことが心に残りました。
 今年の夏、来日したアメリカ人のノートルダム・シスターが、蝶の羽化について興味深い話をしてくれました。「蛹の中の幼虫は、想像的細胞と表現するより外ない1つの細胞が、自分の中へ侵入するのを防ぎきれず負けて、それを受け入れたとき、羽ができ、蝶になって生きるのだ」と最近の生物学者が言っているというのです。
 「身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあり」という日本の諺や、「1粒の麦は地に落ちて死ねば多くの実を結ぶ」というイエス様のことばも思い合わされ、生き方を教えられる思いがしています。