1. HOME
  2. ニュース
  3. シスターの散歩道
  4. 支えられて生きる

ニュース

支えられて生きる

シスタージュディス鎌田

 人に会うために出かけた時のことです。バスを降り、横断歩道を渡ろうとすると信号が変わり始めました。急いで斜めに横切ろうとした時何かにつまずいて思いっきり倒れました。額が路面にぶつかった覚えがあります。急いで跳ね起きると、3人ずれの女子高校生が「大丈夫ですか。」と訊ねてくれました。持っていた日傘は折れた骨が傘の布地を突き破って飛び出していましたが、自分自身は骨折もせず、膝をすりむく程度で済んだのです。「何でこんなことに!」と悔しい思いでカンカン照りの中を日傘なしで面会場所に向かいましたが、考えてみればこれはとても幸運なことでした。骨折や脳震盪でも起こしていれば待ち合わせどころではありません。スラックスを穿いていれば膝が破れ、そのままでは到底人にお会いできなかったでしょう。

 面会が終わって帰路に着いた時、ふと見ると日傘の持ち手の皮がめくれ、中の木もえぐられたようになっているのが目に留まりました。日傘を持ったまま転倒したので、手も額もまともには地面についていません。全ての衝撃は日傘が受け止めてくれたのでしょう。私を災難から救ってくれた日傘を感謝の思いで握りしめ、改めて起った出来事の意味を考えました

 「私たちは一瞬、一瞬支えられて生きている。呼吸すること、歩くことすら自分の力ではできない。」頭ではよく知っています。でも、日頃はつい自分で全てをやっているような錯覚に陥っています。今回の出来事は、きっとこの事実を思い出すために与えられた機会だったのでしょう。