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マスク

シスター ルース 森

マスク

  最近、ある眼科クリニックで白内障の手術を受けました。受付、検眼、診察、手術までの準備、間を1週間おいての両眼の手術、すべてが、それぞれの部署の方々の心のこもった丁寧な連携のおかげで滞りなく進んだことを感謝しています。ただ、途中から何か不安を感じている自分に気づきました。それは私の両眼の手術をしてくださるお医者様のお顔が、マスクのせいで、なかなか覚えられず、診察室の外でお会いしても、先生だと気づかず、挨拶もできないのではないかという心配でした。

  同じころ、バスに乗った時、3か月ぐらいの赤ちゃんを抱いている女性の隣に座ったことがあります。赤ちゃんは小さな指を動かして、私に触れようとします。私も指を動かしながら、マスクをした私の顔が赤ちゃんにどう見えているのだろうかと思いながら、微笑みかけると、思いがけなく、赤ちゃんもかわいく笑ってくれました。眼だけでも、心は通じるのだと安心し、嬉しく思ったのです。

また、まだマスクを常用しなくてよかったころのことですが、私の修道院の近くの道で、親しく挨拶してくださる男性に方に出会いました。けれども、その時、私は彼が誰なのか分からなかったのです。後で、私が時折、お世話になる近くの歯医者さんだと分かりました。私は先生のマスクのお顔しか見たことがなかったのです。

コロナ・パンデミックが収束し、マスクなしに人々と交わることのできる日常に、早く戻れるようにと強く願わずにはいられません。