「 お客様をお迎えする 下 」
食事を楽しんでいるみんなの顔に幸せが広がっていきます。平素使われなかった食器たちも、久しぶりにみんなに出会えて喜んでいるに違いありません。時間が経つにつれ、会話の内容も豊かになりました。故郷のこと、家族のこと、お正月やクリスマス、イースターの過ごし方その他、たくさんのことを知る機会となりました。心がオープンになり言葉の壁がなくなっていきます。心と心が触れ合い、優しさが互いの心を結びつけています。二人のお客様といろいろ分かち合えた事、時間をともに過ごせたことが何よりうれしく感じられました。
母が若いお客様に愛をもって接していたことが今も心に残っています。「年の功」とでも言うのでしょうか、お客様をもてなす母の姿には包み込むような温かさがにじみ出ていました。
かなりの時間が瞬く間に過ぎてゆきます。最後に、お客様が感謝の思いを祈りに込められ、手を合わせ微笑まれました。その瞬間、「そう、来年もまた、彼らを我が家に是非、お招きしよう」との思いがみんなの心に膨らんでいったのは言うまでもありません。
かつて、砂漠の炎天下を通り過ぎようとした旅人を呼び止め、自ら給仕してもてなすアブラハムの姿 ( 創世記18章1-8節 ) がよみがえってきます。お客様を我が家にお迎えするたびに懐かしく思い出す恵みの原風景!
母は無言のうちに愛の多様なあり方を私たちに残してくれました。