「信頼」と「希望」が未来を拓く
11月28日はノートルダム教育修道女会(SSND)来日の記念日です。今年は60年目、SSNDにとって日本における教育活動の「還暦」にあたります。「還暦」、それは原点に還るときです。
さて、私は丁度一週間前にシェラレオネから帰って来ました。初めて訪れたシェラレオネは10年にわたる内戦が終わってもう5~6年になりますが、まだまだ「戦後」でした。農業を主産業とするこの国で、内戦の10年間まともに農作業ができず、学校も機能していなかったのです。10年の空白は社会に計り知れないダメージを与えました。貧しさの中にも地域共同体、拡大家族共同体が人々の暮らしを支えていた仕組みが戦争で大きく崩れてしまったのです。1970年代からこの国の教育活動に携わってきたSSNDのシスター達は今、マイナスからの再出発をしています。先生が足りない、教室が足りない中で子どもだけでなく教育の機会を失った大人の教育も必要です。食糧不足で栄養状態の悪い子どもたちは、マラリアや破傷風で簡単に死んでしまいます。シスターたちはこの流れを変えるため、人々と協力しながら自律と支え合いの回復に粘り強い働きかけをしています。彼女たちの働きのキーワードは「信頼」と「希望」でしょうか。
60年前、戦後間もない日本に到着したシスターたちもないないづくしの中で、言葉と文化を学びながら学校設立の準備をされました。彼女たちのキーワードもきっと「信頼」と「希望」であったのではないかと思います。
そして「還暦」を迎えた日本のノートルダム教育も、課題は大きいけれど「信頼」と「希望」で未来を拓くよう招かれているのではないでしょうか。お祈りとサポートをよろしくお願いいたします。